ウクライナで起こっていることは、遠い国の出来事ではない

高木けいの主張(第17回) 記述日 令和4年2月27日

1月17日から始まった今年の通常国会は、2月22日、衆議院で令和4年度予算が可決、参議院へ送られたことにより年度内成立の目途が立ち、まずは最初の山を超えました。

一方、世界に目を転じれば、ウクライナ情勢はついにロシアがウクライナを侵略、首都キエフを制圧すべく侵攻しています(2/27現在)。今後のことは、全く予断を許しません。

「力による一方的な現状変更を許さない」。私たちは、それが世界の共通認識と信じていましたが、現実はどうでしょうか。それは単なる「あるべき論」に過ぎないとすれば、非常に悲しいことです。

ウクライナの現実は、わが国の有り様を鋭く穿(うが)ちます。ウクライナに憲法9条があれば、この状況を回避できたのでしょうか。「平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意」(憲法前文)すれば、国家の安全は担保されるのでしょうか。

古来より、世の中の原理原則は「天は自ら助くる者を助く」(サミュエル・スマイルズ)であり、「現実の前に理想は無力」であるという政治のリアリズムを、残念ですが私たちはもう一度肝に銘じる必要があると思います。ウクライナで起こっていることは遠い国の出来事ではなく、近い将来、わが国にも起こりえるかもしれないと考えなければなりません。

■「国連」という幻想

国連が全く機能しないことも、改めて鮮明に、白日の下に晒されました。そもそも常任理事国のロシアが、明白な国連憲章違反である他国への侵略行為を行っているのですから(わが国北方領土の不法占拠も)、このような事態に「国連」という機能は全く無力であると言わねばなりません。制度的に先の大戦の「連合国」の都合によりつくられた組織であり、常任理事国に過度の特権が与えられている仕組みですから、ロシアと中華人民共和国が常任理事国である時点で、機能不全に陥る宿命なのです。最近では影を潜めていますが、かつてわが国では「国連中心主義」なる言葉をよく耳にしました。政治のリアリズムを糊塗するための、空疎な言葉と言わねばなりません。

わが国は「国連」という幻想からまず目覚めることが必要だと思いますが、それでは国連の代わりになる組織を新たにつくることが良いのでしょうか。それとも、そうした機能が地球上に無くても良いのでしょうか。一朝有事の際、国連が機能しないことは誰の目にも明らかになったのですが、これは極めて重要な課題です。

私は国連のような機能があろうがなかろうが、自分の国は自分で守るという当然の努力無くして、平和を享受することはできないと考えます。他国との同盟や集団的自衛権は、自らを守る気概と能力があって初めて機能するものと考えるべきです。

■わが国が平和であり続けるために必要なこと

1989年のベルリンの壁崩壊から米ソ冷戦構造の終焉は、おぼろげながら、これからは平和な時代の到来か…と思わせるものがありました。しかしこの30年間、世界は新たな秩序への挑戦が相次ぎ、米国の力の衰退と軌を一にして、中国、ロシアの軍事大国化が進んできました。2014年のロシアによるウクライナ・クリミア半島の併合、及び東部地域への親ロシア派武装勢力を使った分離独立の動きは、昨今のウクライナ情勢を見るにつけ、ロシアにより周到に準備された新たな秩序への挑戦であることは明らかです。

私たちは独立した民主国家のウクライナが、なぜこのような侵略を受けなければならないのか、本質を見誤ってはなりません。ロシアはNATOの東方拡大を阻止することが、自国の安全保障上必要との大義名分をかざしますが、現代社会においてそれが軍事侵攻の理由になるなど論外。問題があるなら、外交的手段で解決すべきです。ロシアには厳しい制裁が課されなければなりません。

それではわが国がウクライナの現状から学ぶべきことは何か。それは2つの意味で、わが国を「強くすること」以外にありません。その一つは「経済」であり、もう一つは「防衛力」。経済が強くならなければ、何事もなしえません。だから今こそ、責任ある積極財政が必要です。 防衛力は米国の力が衰退しつつあるいま、あくまでもわが国の主体的努力を前提に、自由で開かれたインド太平洋戦略のような、価値観(自由・民主主義・人権・法の支配)を同じくする国々と一体となって、総合力で「力による一方的な現状変更」を許さない体制をつくることも重要です。中国が「核心的利益」と言って憚らない「台湾有事」が現実味を帯びてくる中、その膨張主義に総合力でしっかり備える必要があります。

■今まで平和であったからと言って、これからも平和であるとは限らない

私たちは、今まで平和であったから、これからも平和であると、安易に思ってはなりません。アジアでは、既に自由香港は消滅し、中国は南シナ海の覇権と「台湾解放」及び尖閣諸島を虎視眈々と狙い、ロシアはかつてのソ連帝国復活を目論み、北朝鮮は核とミサイルの開発・増強に血道を上げています。わが国は、いつの間にか世界で最も危険な地域の一角に置かれています。

情勢は日々刻々と変わっており、結局、平和な国であり続けるためには、私たちが平和をつくり維持するための、固い決意と不断の努力をする以外にありません。無法な侵略国家・ロシアと戦っているウクライナを励まし連帯することはもちろん大事ですが、侵略者に付け入る隙を与えないことを、いままさにわが国自身が考え実行しなければならない時です。それには、経済の立て直し、防衛力の増強、そして憲法改正。これがわが国喫緊の課題です。ウクライナの悲劇を目の当たりにし、私は改めて国家と国民のために、平和で明るく豊かなわが国をつくる仕事に全力で取り組む決意です。

  

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