現代の民主主義の危機は救えるか

高木けいの主張(第24回) 記述日 令和6年6月24日

6/21(金)第213回国会が閉会いたしました。1/26から150日間、長かったようであっという間の半年間。今年は元旦の能登半島地震対策から始まり、並行して政治とカネの問題に翻弄されながら、個人的には複雑な思いの残る国会でした。

■ 政治改革は道半ば

党内の派閥(政治団体としての派閥)の解散が行われたことは、政治とカネの問題に対する一つのけじめであったと思いますが、政治団体ではない純粋な政策グループは、これからも自然とつくられていくでしょう。

それ自体は否定されることではなく、むしろ政策を磨き競う機会を増やし、党内でのより良い切磋琢磨が行われるようにすべきです。

一方で、岸田総理の努力の結果は評価されるべきですが、派閥の解散ができるくらいなら、党内の問題だけでなく、もう一段深掘りした政治改革ができたのではないかとの思いもあります。

例えば、政治資金規正法における会計責任者の職務については、政治団体内での実務を管理する立場にとどめ、何かあった際の法的責任は代表者たる政治家が全責任を負う制度にすべきではないのか、と私は党内の会議で主張してきました。

こうしたこと(国民感情として、政治家はずるいと思われているような制度)には、あえて踏み込んで改革の実を上げてほしかったのですが、残念ながら実現しませんでした。

■ 三つの民主主義の危機

さて、いまわが国を取り巻く環境は、内外ともにかつてない厳しさです。そうした課題に思いを致すたびに、このままではいけないと思い、関係する党内の会議や所属委員会で、少数意見であっても自らの信念と政策を同志と共に訴え続けてきました。

課題は多岐にわたりますが、ここではその中から特に三つのことを以下に記します。その根底にあるのは、間違いなく「民主主義の危機」です。

■ 第一に「財政民主主義の危機」

わが国のマクロ経済対策と国家財政運営が一向に改められない問題。政府は「デフレ完全脱却に向けて」とは言うものの、バブル崩壊以降の30年間、ずっと緊縮政策を取り続けてきました。

資金循環統計を見れば明らかなように(特にコロナ以前)、企業の貯蓄超過に対して、政府支出が不足していたため、わが国は資金供給不足による完全なデフレ経済でした。

経済成長するためには、総需要の拡大による投資と生産性向上、及び賃金の上昇が必要です。PB(債務残高対GDP比)黒字化に固執し「骨太方針2015」以降は予算にキャップをかけてまで財政支出を絞り続けた結果(非社会保障費の伸びは3年間で1000億円程度とされ、つまり単年度330億円以上の新規予算がつかない状態)、デフレを助長しGDPの拡大を阻害、結局債務残高対GDP比を高めました。

逆に言うと、財政健全化は、計算式上GDPが増えることによって債務残高の比率が下がるのですから、経済成長することが財政健全化への「正しい」道筋です。さらに言うなら、必要な予算が計上されないことにより、国民の命に関わる課題が表面化し始めています。

例えば、相対的に劣後する防衛力、さらなるレベルアップが必要な国土強靭化、老朽化激しい地方都市の既存インフラ、遅れを取るワクチン開発に象徴される医療・創薬研究開発等、必要な予算が組まれないことによって、国民の命に関わる課題が年々深刻の度を増しています。

昨年と今年は税収が見込よりも増え、財政状況の緩やかな改善でPB黒字化が視野に入ったと言われていますが、それはコロナ対策で政府が多額の財政支出を行ったからに他ならず、それこそがエビデンスです。政府支出を増やしたことで、結果として経済が緩やかに成長し国も地方も税収が増えました。

では、なぜ経済成長することこそ「正しい」道筋と言えるのか。それは経済成長=景気拡大であり、国民の懐(ふところ)を温めることになると同時に、わが国の財政の数値が改善するからです。

マクロ経済対策と国家財政運営は、平たく言えば国家の揺るぎない存続のため、更には国民を豊かにするために行われなければならず、そのためにこそ「正しい」道筋を見極めていかなければなりません。

国家存続のために必要な外交や防衛予算の増額、国民の命を守る国土強靭化、少子化に歯止めをかけるための「異次元の少子化対策」など、いずれも経済成長なくして達成することはできず、だからこそ正しい現状認識と、正しいマクロ経済対策及び国家財政運営が必要です。

しかし冒頭に書いたように、わが国の国家財政運営は一向に改まる気配がありません。今年の財政政策検討本部(本部長・西田昌司参議院議員)の「骨太方針2024」に対する政府への提言
https://storage.jimin.jp/pdf/news/policy/208431_1.pdf
が「財務省に猛省を求める」で結ばれているように、財政民主主義の形骸化が危惧されています。

私は党内に設置された「財政政策検討本部」の一員として、今までも同志とともにその論陣を張ってきましたが、これからも責任ある積極財政こそ、わが国を正しく導く政策であるとの確信に基づいて、関係するあらゆる場面でしっかり発言・提言を重ねていきます。

■ 第二に「民主的政治体制の危機」

わが国を取り巻く国際環境が劇的に変化している中、政治がそのスピード感についていけず取り残されつつあります。

ロシアによるウクライナ侵略、イスラエルとハマスの戦いなど、ここ数年各地で燻っていた紛争の火種が一気に発火した感があります。台湾についても、中国による一方的な現状変更の危険度が高まっています。

そうした現状に関係国の動きは目まぐるしく、ロシアと北朝鮮の露朝同盟締結は、いよいよ新たな世界の分断を決定づけ、さらに中国・イランなどとの連携によって、米国及びG7等と対立する国家群として、「独裁」対「民主主義」という新たな枠組みが鮮明になりつつあります。

わが国は特に、ロシア・北朝鮮・中国の隣国であり、G7の一角かつ米国を唯一の同盟国とする民主主義国家です。この現状にどのように対処するのか。国会での議論は足りているのでしょうか。

国連は高邁な理念に基づくシンボリックな組織ではありますが、国際環境が一層複雑化する中で、国際秩序を適切に維持し確立していく力がないことは、この数年の出来事で誰の目にも明らかになりました。

また、昨今のデジタルやAI技術の進展は、戦争の形を変えつつあります。ロシアがウクライナ侵略の際に取った手法の中で、ドローンの多用化をはじめ、デジタルやAI技術を駆使し、物理的な破壊だけでなく、世論工作やサイバー攻撃が繰り返し行われたことは周知の事実です。

AIによる岸田総理の偽動画は記憶に新しく、電力をはじめエネルギー供給一つをとっても、すべてがデジタル技術に司られています。さらに昨今のわが国に起こったサイバー攻撃事例では、名古屋港コンテナターミナル、Suica、JAXAへのサイバー攻撃など枚挙に暇がありません。

潜伏期間の長いマルウェアによる攻撃などは、未だ検知されていないものも少なからずあるではないでしょうか。安保三文書の改定によって「能動的サイバー防御」という方針が示されそのレベル感として「欧米先進国と同等又はそれ以上」を目指すとされたのは良いのですが、実行部隊の組織と人員が圧倒的に不足しており、また、現行の憲法(第21条 通信の秘密)を含む法体系(例えば電気通信事業法、不正アクセス禁止法、刑法、自衛隊法等)を何一つ変えずに「能動的サイバー防御」は可能でしょうか。

いざというときに「超法規的措置」を取らざるを得なくなるとすれば、それは法治国家として失格です。立法機関の怠慢と不作為でしかありません。

■ 第三に「選挙の危機」

6/20告示の東京都知事選挙は56人の史上最多の立候補者数もさることながら、全裸女性のポスターを掲示した候補者、売名に終始する候補者の出現など、話題に事欠かない毎日です。

国も地方も、国民の代表を選ぶことは、多くの良識ある有権者にとって大切な務めであると考えてきたはずです。そのため候補者の自由な主張が最大限尊重されるようにとの考えから、ポスターの記載内容や政見放送の中身は、いままで規制がありませんでした。

4/28投開票の東京15区衆議院補欠選挙では、供託金を支払い立候補が認められれば何でもできるとばかりに、他の候補者の妨害に血道を上げる候補者が現れました。こうした風潮には常識や良識では到底対応することができず、結局法改正を求める声が大きくなるばかりです。

今回の都知事選をきっかけに、規制強化の方向に動かざるを得ないことになるでしょう。世界には、国民が自由に政治的意思表示をすることができない国もある中で、わが国の選挙の現状は「異常」を通り越して「異様」です。

都知事選と同日投票、6/28からはじまる都議会議員補欠選挙は、私の地元北区、板橋区を含む9選挙区で執行される予定ですが、地元と東京都政のために、純粋にひたむきに頑張ってくれる候補者の、政策、識見、情熱など、本来競うべきテーマでの戦いになってほしいと切に願います。

わが党からは北区では戸枝大幸さん(区議6期 https://www.toeda.jp/)、板橋区では河野ゆうきさん(元都議 https://www.konoyuki.tokyo/)がチャレンジします。「選挙の危機」に歯止めをかるべく、政策をしっかり訴え、地元と都政のあるべき姿を熱く語り、地道に人柄を知ってもらうような戦いを繰り広げて欲しいと思います。

■ すでに始まっている民主主義の危機

以上述べたように、三つの「民主主義の危機」はすでに始まっています。国会は国権の最高機関であり唯一の立法機関です。政治とカネの問題で機能不全に陥っていることを、私を含め自由民主党は深く反省し、早急に信頼回復に取り組まなければなりません。そうしなければ、政治が前に進まず、「民主主義の危機」は一層深まるばかりです。

■ わが国にとっていま何が最も大切なことなのか

私は衆議院の一議席をお預かりしている立場として、常に「わが国にとっていま何が最も大切なことなのか」を念頭に置きながら、まずは都知事選と都議補選、日々の政治活動、次の国会、自民党総裁選挙など、当面の活動と果たすべき役割に邁進していく決意です。

これからも国家と国民と地元のために、愚直にしっかり汗をかいていきます。今後ともよろしくお願い申し上げます。

  

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