都知事選の自民党推薦候補はただ一人、増田寛也です!
このたびの参議院選挙では、力強いご支援をいただき誠にありがとうございました。おかげさまでわが党は全国で勝利をおさめ、東京でも公認候補2名(中川まさはる、朝日けんたろう)がそれぞれ当選いたしました。ご支援いただいた皆様方に心から感謝申し上げます。
◇候補者決定までの経緯
さて、参議院選挙に引き続いて7月14日から行われる東京都知事選挙ですが、わが党は元総務大臣、元岩手県知事の増田寛也(ますだ・ひろや)氏を推薦することを決めました。推薦の理由は多岐にわたりますが、そもそも今回の都知事選は、政治と金の問題で元参議院議員であった前知事が辞任したことを重く受け止め、現職の国会議員を出さないことが党内では決定(6/17都連国会議員会議及び支部長常任総務合同会議)されていました。したがって、政治と金の問題を二度と起こさない人を第一の条件として、さらに2020年オリンピック・パラリンピックの成功という国際公約をはじめ、山積する都政の課題を着実に解決できる行政手腕のある人を探していました。限られた時間の中で大変困難な作業でしたが、7月11日、増田寛也氏を自民党の推薦候補に正式決定いたしました。(写真は7/12、都議会自民党控室にて決意表明)
◇分裂選挙ではない
このことによって、「自民党の分裂選挙」という報道がありますが、自民党は決して分裂しているわけではありません。自民党の某女性国会議員が一人でかき回しているだけであって、それは単なる身勝手な行動に過ぎません。自民党都連は増田寛也氏の推薦を満場一致で正式決定したのですから、自民党は一つです。かつて平成3年の都知事選において分裂選挙と言われたものは、自民党本部と都連がそれぞれ別の候補者を担いだことによります。これはまさに自民党の分裂選挙だったのですが、今回は自民党が分裂しているのではなく、お一人の方が、党の決定に従わず勝手に行動しているだけのことです。この方は、自民党に所属しているにもかかわらず自民党に推薦依頼をせず(正式には推薦依頼をしていましたが7/10に推薦依頼を自ら撤回)、都知事選に出ようとしているのですから、自民党籍を返上して純粋に無所属として出馬すべきなのです。それが都民に対して誠実な態度だと思います。
◇増田寛也氏について
さて、わが党が推薦することになった増田寛也氏について、すでにいろいろな報道がありますが、本質的にはその著書である『東京消滅…介護破綻と地方移住』(中公新書 2015年12月15日発行)を読んでいただくと、自民党が推薦した理由を理解していただけると思います。同書はタイトルこそ刺激的ですが、内容は東京の抱える深刻な課題に対する警鐘と、その解決へ向けての処方箋と応援にほかなりません。例えば前書きで、「東京には今後の発展を阻害しかねないリスクが二つある。一つは災害のリスク(中略)もう一つのリスクが東京圏の超高齢化である。(中略)これまでの東京の発展は、地方の若者によって支えられてきた。しかし今後、地方の人口減少が加速し、その結果、東京への若者の流入が途絶えれば、東京もまた急激に高齢化する。わが国を代表する世界都市としての東京の競争力が損なわれ、ひいては日本全体の衰退を招く恐れがある。この不都合な真実を直視し、様々なアイデアを出し合いながら手遅れにならないようにしたい。本書が、その叩き台になればと願っている。」と書かれ、またあとがきでは、「一国の中にもう一つ別の国がある…そんな大きな存在が東京都と言える。(中略)東京都と地方が連携し、日本全体を成長させていくことが求められている。東京都にはぜひそのリーダーシップを発揮してもらいたい。それが本書で挙げた東京の課題を解決していくことにも繋がる。(中略)東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年は、奇しくも東京都の人口が減少に転じるとされる年である。来るべき2020年が、新しい東京、そして新しい日本へと変革を遂げる姿を世界の人々にアピールできる、そのような年になることを強く期待したい。」と書かれています。つまり、東京の課題解決こそ、わが国の危機を救うことだと喝破しているのです。東京のマネジメントにこうしたビジョンを持っていることは、大変重要なことです。
◇都民は実務に精通した知事を求めている
私たちが求めたのは、こうした東京の現状を認識し、その課題解決に自分なりのビジョンを持っている人です。誰しも最初から完璧な人はおらず、今後の議論の中でさらに良いアイデアが生まれることでしょう。私は増田氏の著書等を読み記者会見を見る限り、東京についてかなり的確な認識と柔軟な発想を持っており、実務に精通した方とお見受けしました。
今回の都知事選で増田氏の名前があがった直後から、ネット上では様々なことが取りざたされました。主なものは①増田氏は岩手県の財政を破たんに追い込んだ、②東京一極集中を批判し続けてきた、③東京都豊島区を消滅可能性都市と言っていた、④総務大臣時代に東京の自主財源を収奪した張本人、⑤舛添前知事が表明した韓国人学校問題に対してどう考えているのかわからない、などでありました。7月11日の記者会見等でほぼすべてのことに明快に答えていましたので、あえてここで重複することを書きませんが、④のことだけは、当時の事情を知る者の一人として、もう少し詳しくお知らせしておこうと思います。この問題は平成19年に地方法人特別税(法人事業税の一部国税化・暫定措置)を導入したことを指しているのですが、これは増田総務大臣が行ったというよりも当時の福田政権(町村官房長官)が、政権の方針として地方の疲弊する財政状況を少しでも改善するために、時限措置(税制の抜本改正が行われるまで、すなわち消費税増税までの間)として都の税収を一部国税化したものです。もちろん都にとっては苦渋の選択でしたが、福田総理が「都の重要施策については国として全力で応援する」と明言したことから、暫定措置であるという前提の下、この条件を飲む代わりに国と都の実務者レベルでの協議の場を設けること、及び13項目の国への要望(羽田空港の国際化の推進・三環状道路の整備促進など)を提案し、多くのものは実現されました。そして地方法人特別税は、本来おおむね3年で時限措置を終える約束でしたが、その後民主党政権に替ったこと、また当時の自民党税調の幹部であった方々が次々と引退・逝去され、その時の約束や事情を知る方がいなくなるなどの不運もあり、廃
止の手続きが遅れに遅れて、昨年の税制改正でやっと平成29年度より廃止の方針が打ち出されました。問題なのは、昨年度から「地方法人税」(法人住民税の地方交付税原資化)という新たな税目が創設され、東京の自主財源が新たな形で国税化されたことです。これについて増田氏は記者会見で、「地方法人特別税の問題は、当時の税の偏在にする緊急的な対応であって、すでに消費税の引き上げのときにこれを解決するという制度的な対応が図られた。東京の財政需要は保育・介護等非常に大きくなっており、さらに当時決まっていなかった2020年オリンピック・パラリンピックの大きな財政需要が見込まれるので、都民の税をきちんと守るという形で考えていく必要がある」と明確に主張しました。まさに実体験に即して、こうしたことを主張してくれる実務に明るい知事を、私たちはつくらなければならないと考えます。
◇2020年(平成32年)までの時間の制約の中で
某女性国会議員は、先日の記者会見で不思議な公約を出されました。
「都議会の冒頭解散」。
東京都知事に、無条件での都議会解散権があると思っていたのでしょうか。翌日のぶら下がりで「不信任を出されれば…という意味です」と修正していましたが、それでは公約にならないように思うのは私だけではないでしょう。ましてや、そういうことをあえて誘発するとすれば、これ以上都政を混乱させて、いったい何をしたいというのでしょうか。都議会自民党が自分の意のままにならないからと言って、議会の解散を口にするのは、まさに私怨の世界であって、「公私混同」に他なりません。今必要なことは、舛添問題によって混乱した都政を正常に戻し、行政も議会も、一日も早く落ち着いて仕事ができる環境を整えることです。2020年オリンピック・パラリンピック東京大会が迫ってくる中で、政治家の私怨に付き合っている暇はありません。「冒頭解散」、「都民の声を聞いてみたい」などのフレーズは、10数年前の小泉総理を真似たのかもしれません。小泉劇場と言われたあの頃をイメージさせることから「小池劇場」という人もいますが、解散権を持つ総理が、明確な政策と主張(それが正しいか正しくないかは別として)をもって行ったあの解散劇と、今回はまったく状況が違います。こんな陳腐で内容の無い劇場に、お客さんは最初から興味を示さないと知るべきです。
また、分裂選挙になるのではないかとの報道にかこつけて、「都民と都議会自民党との分裂」などと言っていましたが、それは各地域で自民党議員を支持した都民を冒涜するものであり、知事も議員もそれぞれが都民に選ばれる、いわゆる二元代表制をまったく理解していないことに他なりません。地方自治の仕組みやその意味合いを、もう少し勉強されてから都知事選に名乗りを上げるべきではないでしょうか。
◇東京の輝きを取り戻す
石原知事以来、三代にわたって任期途中で都知事が辞任してしまった東京都政は、一日も早く正常化されなければなりません。知事と議会がともに力を合わせて、都民の幸せをつくっていく。それが都政の大義であり、あるべき姿であることは言うまでもありません。時には知事と議会が対立しても、都政の大義を見失わなければ、おのずと着地点は見えてきます。だからこそ私たちは歴代の知事に対して、パフォーマンスではない地に足の着いた政策の実行を促してきました。知事も議会も、ことさら目立つ必要はなく、東京にとって必要な政策を着実に実行することが、都民のためであると常に申し上げてきました。 残念ながら、そうした言葉はなかなか聞く耳を持ってもらえず、東京はまた新しい知事を選ぶ作業に入ることになります。
首都東京は本来全国の憧れであるべきで、その姿はだれが見ても輝かしいものでなければなりません。ここ数年の不祥事がその輝きを曇らせてしまいましたが、私たちは東京の輝きを再び取り戻し、かねてより目標に掲げてきた「世界で一番の都市」への努力を、力強く続けなければなりません。
私たちは、東京の新しい知事に増田寛也氏を推薦しました。実務型・質実剛健の都政を、多くの都民の皆さんと一緒につくっていきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。