東京は自然の宝庫
8月25日、長年の夢がかなって、東京都奥多摩町の小河内貯水池(奥多摩湖)の視察に伺いました。新宿から西へ65キロメートル、多摩川上流部に位置し、水道専用ダムとしては国内最大規模を誇ります。「長年の夢」というのは、都議会議員になって10年が経過するのに、都内でいまだ訪ねていなかったのが、奥多摩の小河内ダムと小笠原諸島だからです。
このダムが計画されたのは昭和7年。東京市会の第二次水道拡張計画によって建設が決められました。この時期の東京は、関東大震災の帝都復興事業が終わり(昭和5年)、急激な都市化の波による人口急増に直面。都心15区と6郡(82町村)が合併し(昭和7年)、現在の23区の原型である大東京市が形成された時期と重なります。特に山の手地区の人口増加は極めて顕著で、現在都庁のある淀橋浄水場の移転が決定されたのも昭和7年でした。
関東大震災発災の半年後にスタートし、約7年間でおおむね完成となった帝都復興事業に見られるように(それでも当初計画の1/3程度に縮小されましたが)、東京の都市づくりを担った先達たちは、都市化の波や人口急増にいち早く備えるべく、インフラをはじめとする様々な事業に迅速に対処してきました。極めて的確な先見性があったというべきでしょう。
さて、この小河内貯水池ですが、都民の水源としての機能はもちろん、風光明媚な自然の宝庫というにふさわしい湖でした。それはひとえに、東京都水道局が流域の水道水源林の6割を所有・管理しているからに他ならず、水源林が適切に保たれているからこそ水質が良く、貯水池内の堆砂量が極めて少ないと言われています。
今回、奥多摩町に伺って改めて感じたことは、東京都の自然の深さと美しさでした。伊豆・小笠原諸島の海、多摩地域の山。都心の先進的な都市の姿に対して、長年育まれてきた美しい自然が残る東京都を再発見した今回の視察は、大変有意義なものとなりました。
ちなみに、奥多摩町の特産品に「奥多摩わさび」や「奥多摩やまめ」があります(http://www.town.okutama.tokyo.jp/sangyo/nogyo/tokusan.html)。清らかな水辺でしか育たないわさびは、伊豆や安曇野産が有名ですが、奥多摩わさびは生産量こそ多くないものの、高品質で知られます。奥多摩やまめは、通常のやまめの3倍ほど、45センチくらいの大きな魚です。それぞれ食べましたが、大変おいしい東京食材。もっと多くの都民に知っていただきたいものです。
「世界で一番の都市」にふさわしく、東京は豊かです。都市の利便性や先進性と豊かな自然の融合。このような多様な顔を持っている東京を、国内外を問わずもっと多くの人たちに知ってもらいたいものです。