異常気象のニュースも大事だけれど…
気象庁によると、東京都心の降雨は8月に入ってから16日まで16日間連続。40年前の22日間に次ぐ、過去2番目の長さとなったようです。夏が夏らしくなくなると、いろいろなところに影響が出ます。日照不足による野菜の高騰、海水浴場は閑古鳥が鳴き、ビールが売れなくなる…などなど。それはそれで深刻なニュースですが、各報道番組のトップニュースがそれでよいのか、非常に違和感があります。
北朝鮮の度重なるミサイル実験の強行は、わが国が非常に危険な国と隣り合わせであることを物語ります。ましてやそれがさらに、わが国上空を通過しグアム島近海に打ち込まれる可能性が示唆されるなど、ここ数日の米朝は一触即発の事態でした。さいわい、北朝鮮によるミサイル発射は強行されませんでしたが、それで安心できないのが、わが国を取り巻く現状です。
以下の記事をご覧ください。
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20170816-00000457-fnn-int
8/16午後1時、中国福建省から中国漁船600隻が出港し、その約半数が尖閣諸島周辺へ向かいました。中国政府は、東シナ海での休漁期が終わり解禁を迎えたと説明。それは事実なのでしょう。しかし、わが国が北朝鮮情勢に翻弄されている時に、中国は民間漁船を使って、尖閣諸島周辺海域が中国の影響下にあるかのような実績づくりをしているのも事実です。
また、以下のグラフをご覧ください。
http://www.kaiho.mlit.go.jp/mission/senkaku.html
これは中国公船に関する海上保安庁の集計データですが、これを見れば一目瞭然。尖閣諸島周辺におけるわが国の領海及び接続水域、また排他的経済水域が、中国公船によって近年極端に脅かされています。平成22年(2010年)尖閣諸島での中国漁船衝突事件は、わが国の安全保障に大きな警鐘を鳴らしましたが、7年たった現在、漁船だけでなく公船も日常的にこの海域に出没するなど、一層大胆かつエスカレートしているといえます。
さらに、以下の報道発表資料をご覧ください。
http://www.mod.go.jp/js/Press/press2017/press_pdf/p20170714_05.pdf
これは、7/14に統合幕僚監部より発表された、平成29年度第1四半期の緊急発進(スクランブル)実施状況についての資料です。御覧の通り、今年は今のところ若干昨年を下回っているものの、傾向として平成22年度から、スクランブルの回数がうなぎ上りに増えていることがわかります。
北朝鮮によるミサイル発射実験はもとより、中国漁船・中国公船による尖閣諸島周辺のわが国海域の侵犯問題や、特にロシア及び中国軍機による領空侵犯とスクランブルの増加など、こうした国家の根幹にかかわる重要な安全保障の情報が、なかなか報道されないのはなぜなのでしょうか。
異常気象のニュースを軽んじるわけではないのですが、北朝鮮情勢に耳目が集まっている今こそ、報道機関は近隣諸国の動きとともに、わが国の置かれているこうした現状を、的確な分析とともに私たちに伝えて欲しいものです。