なぜ市場会計予算に組替え動議を出したのか
平成29年東京都議会第一回定例会の予算特別委員会は、3/28、討論・採決をもって終了しました。私たち都議会自民党は、この度の予算案の中で、市場会計予算と移転延期に伴う補償費として計上された補正予算(第一号)に対して、それぞれ組み替え動議を提出し、市場問題に都政として責任を持って対処するよう提案しました(詳細の内容は下記)。しかしながら、公明党・共産党・都民ファーストなどの、いわゆる小池与党連合に私たちの提案は否決されました。
私たちはなぜ予算組替え動議を出したのか、その理由を「提言」としてまとめましたので、下記に記します。
≪ 予算の修正内容 ≫
○平成29年度東京都中央卸売市場会計予算(第18号議案)
・ 築地市場内の土壌汚染に関する調査経費等を増額
100,000千円
・築地市場内の安全性を強化するための市場営繕費を増額
300,000千円
・築地市場内の安全性を強化するためのアスベスト対策工事を増額
200,000千円
※ 財源については、地方公営企業法施行令第24条第2項に基づく建設改良積立金の目的外使用により対応する。
○平成29年度中央卸売市場会計補正予算(第86号議案)
・ 豊洲市場への移転延期に伴う市場関係業者に対する補償金を増額
4,700,000千円
※財源については、地方公営企業法施行令第24条第2項に基づく建設改良積立金の目的外使用により対応する。
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■平成29年度中央卸売市場会計当初予算及び補正予算の修正に関する東京都議会自由民主党の提言
平成29度東京都予算案の審議にあたり、私たち東京都議会自由民主党は、豊洲市場への移転に関する問題について、都民の安全と安心を確保するということを第一に、知事に対して集中的に論戦を挑みました。
築地市場については、従前から問題が指摘されてきた老朽化、狭隘化の問題、開放型市場という特性に由来する衛生問題など、多くの問題を抱えています。更には、今回の論戦の中で、土壌汚染の問題、建物の耐震性に関する既存不適格の問題など、新たな問題も明らかになりました。
こうしたことを踏まえ、私たち東京都議会自由民主党は、都民の食の安全安心に対する責任政党として、豊洲市場への早期移転を主張して参りました。
しかしながら、今回の論戦を通じて、都民の食や市場関係者の「安全と安心」についての知事の認識には、大きな問題があったと言わざるを得ません。
知事は、豊洲市場と築地市場の安全と安心について、「豊洲市場は、土壌汚染対策法等、法律的な問題はカバーしている」との認識を示される一方、都民の安心は得られていないとしました。しかしながら、築地市場には、安全上様々な問題がある中で、都民の安心は得られているとのご認識でした。
「安心と安全」を巡るまさにダブルスタンダードであり、私たち都議会自民党としては、この点を都民に明らかにすることが第一であると考え、知事に明快な答弁を求めました。また、安全が確保されていない築地市場から、安全が確保されている豊洲市場への移転に関する早期決断についても、知事に問いました。しかしながら、知事からは今日に至るまで明快なご答弁を頂けておりません。
このことは、都民の食や市場関係者などの安全・安心に最終的な責任をお持ちになる東京都知事として、大きな問題があることをまずもって指摘しておきたいと思います。
築地か豊洲かについて、知事の最終的な判断が下されない中、私たち都議会自民党としては、今回、提案のあった中央卸売市場会計の当初予算及び補正予算案についても、修正の動議をするものです。
まず、築地の安全性確保についての問題です。
今回の議論の中で、築地市場内の建物に関する既存不適格の問題や、アスベスト問題、土壌汚染の可能性などが明らかとなっています。しかしながら、豊洲市場への移転時期が明確にされていない中、平成29年度予算案では、築地市場内で働く方々、市場を訪れる観光客の皆様などの安全性を確保するための費用が十分に確保されているとは言えません。更には、今回の議論を通じて浮かび上がった築地市場の土壌汚染に関する調査経費は計上されていません。築地市場の安全面での調査や施設の安全性を確保するための予算を増額すべきです。
さらには、豊洲市場への移転延期に係る知事のご判断により、多くの市場関係者に生じている損失の補償を実施するための予算についても、問題があると考えています。
市場関係者への補償金については、現段階で全体像を把握できていないという理由により、現時点での予算上の措置として50億円が計上されていますが、個別の積算が行われておらず、まさに「腰だめの数字」となっています。市場担当者の積み上げた試算である97億円と比較しても、年度途中で不足することは明らかであり、市場関係者の皆様からは、不安の声が上がっています。知事のご判断の遅れにより、不安定な状況におかれている市場関係者の皆様の安心感を確保する観点からも、補償費を増額すべきです。
この措置は、豊洲市場への移転延期が明確にされない中で、都民の食の安全安心、市場で働く方々の安全安心を確保するためにはやむを得ない措置であり、真の安全・安心を得るためにも、知事の早期の決断を求めるものです。
平成29年3月27日
東京都議会自由民主党